uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

くらのかみ / 小野不由美

くらのかみ (ミステリーランド)

くらのかみ (ミステリーランド)

本家当主の病状がすすみ、田舎に集結させられた親族一同。本家の裏には危険な沼があり、それにちなんだ伝説が伝わっている。むかし大金を持った行者が一宿を求めてきたとき、先祖たちは共謀して毒セリを食べさせて殺し、死体を沼に沈めて金を奪った。貧乏だった家は、それ以来裕福になったが、行者のたたりにあい、当主となった家族には子供が育たないという。たたりを鎮めるため沼には行者の祠が建立され、また本家の守り神として「お蔵さま」が祀られている。

相続者を決める大人たちの話し合いが続くなか、食事への毒セリ混入による集団食中毒や人魂騒動など、不審な事件があいついで発生する。蔵で遊んでいるうちにいつのまにか増えていた座敷わらしを含めた、五人プラス一人の子供たちが、事件の謎解きに挑戦する。

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ミステリーランド

舞台にはかなりの本格臭が漂ってますな。小野不由美の場合、一見本格のようでいて実はモノスゲエ変格だったりするので気が抜けないですが。油断してると美少女殺人狂とか出てきてぶったまげたりするから笑

子供むけということで、教訓などもちりばめつつのぬるいお話となっております。いかんなあ、子供にはトラウマになるくらいガツンとかまさないと。子供向けの本って、案外子供にとって最もつまらない。小学校高学年で横溝を読みあさった自分がいうのでまちがいない。エログロナンセンス、それが子供にとってのジャスティス。少年誌でジェノサイド落ちを何度もやらかしたり、克明なレイプシーンを延々連載した伝説をもつ永井豪は偉大だ。いや、その場合最も偉大なのは編集か笑

座敷わらしの存在がミスリードの重要な鍵になってる点が工夫か。逆に、そのためにしか機能していない。このキャラもっと使いようあるだろ、というのは小野不由美にありがち。なまじ作品世界に雰囲気があるため、いつももったいない気がしている。