uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

【クマだって!】 滝上芝桜見物&ウェンシリ岳登山 その3 【あんなでっかい猫いないって!】

0900ごろ

山頂もすぐ先に近づいて、あと一息というところ。ここで重大インシデント発生ですよ。姉さん事件です!
登山道南斜面ブッシュ、至近距離で、突如ガサガサガサッ!と音がしたかと思うと、続いて大型動物の足音が軽い地響きとともにドスドスと聞こえてくる。
でででででででで出た!!!奴か?奴なのか?頭が真っ白になりながら、気づかなかったふりをして同じペースで歩いていくと、プンと漂ってくる強烈な獣臭。う〜ん、かぐわしいクマ牧場の香り。うわあああああ!!!間違いない!奴だ!!!!!
そりゃ山歩いてればいつかはこんなこともあるだろうとは思っていた。しかしいざとなると、心中は恐怖心でいっぱいだ。「俺はここ通り過ぎるだけだよー君と関わるつもりはないんだよー」などとつぶやきながら、「ん?あそこの山頂に行くだけだし?君のテリトリーになんか興味ないし?」という体で、平静を装いつつ側面や後ろをちらちら確認しながら、開けた山頂を目指す。
斜度が高く息は上がっているが、火事場の馬鹿力というやつだろう、やや早足気味に一気に山頂まで到達。まだけっこうな距離があったはずだが、記憶ではこの間一瞬のできごとに凝縮されている。無我夢中とはこのこと。

0907 山頂


休憩なし1時間55分、休憩込み2時間20分。
とりあえず山頂標識を撮影。だが景色を楽しむ余裕など一切ない。ラジオを最大ボリュームで鳴らし、熊鈴を振り回しながら周囲の気配をうかがう。しばらく留まるべきか、すぐにこの場を離れるべきか…奴の位置がわからないので判断がつかない。万が一対峙する状況になった場合に備え、「絶対に背中を見せない」「相手の目をにらみつつ後退」「いざというときは何でもいいからできる限り反撃」など、さまざまな心得を反復し自分に言い聞かせる。

そうして周囲を観察していると、前方遠くに動物の姿を発見。あれか!あれが奴か!あんな位置に陣取られたら下山できないぞ…動くのを待つか、他の登山口へ回るかだ。でも、あれ?クマにしては体型が細くないかな…?緊急招集された脳内会議では「シカじゃねぇの?」「いやクマだって」「グリーンアイだったじゃん」「ちょっと俺、沈着冷静にバリケード作る」と大騒ぎである。

じっとしているUMAの姿をデジタルズームでさらに確認していると…あっ、動いた!今僕は確認しました!白いお尻をカメラ越しに捉えました!


「シカでしたぁ」


ワロタw こんなところでマレーシアジャングル探検を再現することになるとはw
山頂でひとり爆笑。とはいえ恐怖心で強いストレスを受けたのは事実。ひとしきり笑ったあとは半ば放心状態でぼーっと休憩。

0941 山頂直下ピークから大雪山系を望む


しばらく経ったところで、とっとと撤退しようと思い立ち、下山開始。
山頂は南西側が疎林で覆われていて眺めがよくなかったが、ちょっと下った位置のピークから大雪山系の山々が見える。ウェンシリ岳足下の、えぐりとられたような地形も美しい。

1039 岩稜


登るときは怖くて余裕がなかったが、下山時はある程度高度感に慣れているので、切り立った岩稜を撮ってみた。でもぜんぜん伝わらないな。これ、幅2メートルくらいの岩で、両側がすっぱり切れ落ちている。この上を渡って向こう側へ出るのだが、万が一滑落すれば、間違いなく死ぬ。よほど無理をしない限り落ちるようなことは無いだろうが、高所恐怖症というのは根拠無く「落ちたらどうしよう」と考えて腰が引けるものだ。こんな岩稜がしばらく続き、特に怖い場所が3箇所ほどある。
技術的には下る方がむずかしいし、疲労で足元がおぼつかなくなると危険度も増す。ここは休憩をとりながら、3点支持を確保しつつ、じっくりと下りていった。

1111 下山


休憩なし3時間25分、休憩込み4時間30分。すれ違ったのは1組のみ。おもしろい山なのに人気がないみたいだ。場所が遠すぎるというのはある。
氷のトンネルにも行っておくべきだったが、登山口を出るまで頭に浮かびもしなかった。事件のインパクトが強すぎて、この場を早く離れたい心理が働いたと思う。氷のトンネルまでなら何組かトレッキング客もいたけどな。疲労と日焼けがひどいのでパスしていいだろ、と自分を納得させ旭川方面へ。
走行中、右の二の腕にちくっと痒みが走る。見てみると、やられた!ダニだ!さいわい発見が早く、噛みついた直後だったようで、頭ごと抜くことができた。やつらを無理に引き抜くと頭が皮膚の下に残って数年も痒みが続くから始末が悪い。ライム病という伝染病も媒介する。取り付いた直後は皮膚の上を這い回り、やわらかい場所を探して噛むという習性も嫌らしい。

1240 協和温泉

岩尾内湖、愛別ダムなどを見学しながら愛別まで移動。汗だくになったので体を流していく。層雲峡や愛山渓まで行くのはさすがに面倒なので、道中にある協和温泉に立ち寄り。ここで撮った写真画像はなぜか壊れていた。暑い車内にカメラを置きっぱなしだったからだろうか。それにしては他の画像は無事だったが…安物だし、そろそろ買い換えようかな。防塵防滴のアウトドア対応モデルが欲しい。GPS内臓まではいらない。
で、温泉。泉質は単純二酸化炭素鉱泉だが、湯量はかなり少ない。大部分の浴槽は沸かし湯。温泉浴槽は1人しか入れないものがひとつだけ。熱湯と冷泉が5対5の割合で、ちょろちょろと注ぎ込まれている。つまり加水・掛け流し。あまり見ない方式だが、ほとんど沸かし湯なわけで、当然この方が効率いい。
汗を洗い流し大浴場でリラックスしたあと、じっくり温泉浴槽につかる。他客はほとんど地元民だと思われ、「よそ者を見る目」で見られた気がする。気のせいかな。

1348 道の駅 とうま



入浴後、当麻町の道の駅でスイカソフトを摂取。
昨日いやというほどソフトクリームを食ったので、今日はもうこれで打ち切り。経路上で未制覇の道の駅はまだ4つあるが。

1445 蜂屋 創業5条店


昨晩の胸焼けと、いろいろ事件があったためか、ほとんど腹が減らない。本当は、ちょい大盛りの店を訪問する予定だったが、昨日の今日だし自粛。無難にラーメンを食っていく。
旭川ラーメンと言えば、まず筆頭で名前があがるのが蜂屋だろう。3条本店は既訪だが、5条創業店は未訪だったので寄ってみた。テーブル席多数の、社員食堂風店内。このレイアウトは本店と変わらない。

当然ノータイムでしょうゆを注文。脂多めと普通が選べるが、これは普通。とんこつ魚介のダブルスープに焦がしラードが浮くスタイル。麺は加藤製麺の低加水ややストレート、いわゆる旭川麺。旭川スタンダードな一品。クセがあるという話も聞くが、旭川といえば基本こんなイメージなので、自分的には違和感ない。食べ比べたわけではないので本店との味の違いはわからないが、記憶にある限りないように思う。これこれ、こんな味だった。魚介の風味と焦がしラードの香ばしさが絡まって、複雑な味わいになっている。うまい。
最も空いている3時〜5時の時間帯だったが、自分のほかにはチャイニーズ観光客1組と、地元客2組。この日、買い物公園40周年のイベントが行われていて人通りが多かったので、有名店としてはもう少し客入りがあってもよいのではと思った。ラーメン村あたりは、おそらくこの時間でも混んでいると思われる。駅前が廃り郊外がはやる地方都市の弊害が旭川も顕著なのだろう。そりゃ買い物公園もイベントのひとつくらい打たないと、存亡にかかわるわな。

1800 自宅着

36時間ちょうどで帰宅。

「どうしたにゃ」
御主人がた、下僕今日は心底ビビりました。遭遇したとしても実際に襲ってくることはほとんどないとは知ってますが、マジでここまでかと思いました。
「我々の世話を放棄することは許されないにゃ」
「ところで我々の写真が使いまわしなのはどういうわけにゃ」
バラさないでくださいってば…いつものパラドックスです。今回は時間軸をさかのぼってみました。
「手抜きにもほどがあるにゃ」

まとめ


走行距離 670.3km


沿面距離 6.934km
累積標高 880m
所要時間 04:28:00
行動時間 03:25:00


交通費 200 +ガソリン代(推定38リッター)
入浴費 420+500
食費 580+1365+188+700
酒代 217+217
その他 87*3+67+500+260+260+300+300+150

合計費用 \6,485- +ガソリン代(推定5,130)

反省点

・早朝出発・深夜帰宅を避けるためのテン泊のはずが、できた余裕をすべてイベントで埋める始末。ザ・貧乏性。
・飯を残して本当にごめんなさい。反省しきり。

感想等

(ウェンシリ岳|ウエンシリ岳)の(クマ|ヒグマ|熊|羆)情報を調べていて迷い込んだ人のために一応書いておきます。
日記本文中ではネタ扱いですが、今回自分が遭遇したのは間違いなくクマです。カメラで捉えたシカとは別の個体です。
1. 遭遇時、重量級の足音がし、低いうなり声も聞こえたこと
2. かなり強い獣臭がしていたこと
3. しばらく山頂に留まっていると、ふたたび獣臭が漂ってきたので慌てて下山開始したこと
おそらくクマは、変な音がする動物(=自分)が近づいてくるのを、じっと茂みで観察していました。最接近したところで、警戒のうなり声を上げてその場を離れたと思います。たぶんわずか数メートルの距離です。その後もクマは観察を続け、山頂からなかなか動かない自分の様子をうかがいに、接近してきたのでしょう。最後の行動が特に恐ろしいです。何が目的だったのかはわかりませんが、場合によっては姿をあらわし、何らかの次の行動に移ったかもしれません。
ウェンシリ岳は、登山道から非常に近い場所をクマが徘徊しています。単独での入山は避けたほうがよいです。