- 作者: 南条範夫
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 1988/09
- メディア: 文庫
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ところがその道中。美しい姉妹の一行を、大勢で取り囲んでいる集団から助けた雪之助は、請われて目的地まで護衛役を務めることになった。目的地はなんと越後高田。姉妹は、藩主松平光長の側室として迎えられる烏丸家のむすめ玉姫と、それに同伴してきた妹の月姫だった。
かくて雪之助は、史上名高い越後騒動の渦中へと巻き込まれていくのである。
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勧善懲悪痛快無比の娯楽活劇。こんなのも書くんだねえ。残酷・凄愴・変態が南條範夫の三要素だと思ってた笑
題材は越後騒動です。パターンどおりの御家騒動の果てに取り潰しになった件ですな。松平家の連枝すら取り潰しに!と大名家を戦々恐々とさせた事件。綱吉の治世で、この人は生類哀れみの令などで後世暗君扱いをされているけど、酒井忠清の専横などに見られる幕閣の権力増大を阻み、将軍親政を実現しようとしたおもしろい人です。で、そのあたりの動きもストーリーに織り込まれている。
バックボーンはそんな感じですが、ジャンルとしては剣豪もの。柳生連也斎直伝の剣をふるい、悪人をばったばったと倒していく爽快さが一番の売り。そしてやはりライバルも必要。邪悪な剣を遣う不気味な男、祖父江玄太郎は、剣の腕はほぼ互角。御家騒動の陰謀うずまくなか、雇われた祖父江と、巻き込まれた雪之助は、互いのプライドをかけて何度も対戦します。
南條範夫なので、正直もっとこう暗い世界観を予想していたのだけど、これはこれでおもしろかった。塩キャラメルだと思って食べたら普通のキャラメルだった、みたいな。違うか。