uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

真田太平記(九) 二条城 / 池波正太郎

真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)

真田太平記(九)二条城 (新潮文庫)

真田昌幸死す。
二条城での家康・秀頼対面に尽力した、加藤清正浅野幸長ら豊臣家の有力大名も、たて続けに死去。その中には山中忍びの関与があるものもあったが、時代は確実に次の世代へと移り変わっている。
そして時は、家康の身にも平等に流れている。すでにこの時代としては驚異的な長寿とも言える家康が、大坂のことを「目の黒いうちに…」片付けたいのは当然のこと。豊臣家が手がけた方広寺再建事業、梵鐘銘文に難癖をつけて無理難題を突きつけ、豊臣家をゆさぶりはじめた。

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世に名高い二条城会見から方広寺鐘銘事件まで。お江を中心とした忍びパートと政治パートが絡みながら進行。
趨勢はすでに決しており、豊臣家は徳川家のいち家臣となるか、滅ぶかの選択をしなければならない状況。誰しもがそれを理解しており、心ある功臣は融和に力を尽くす。それを台無しにしたのが淀殿のヒステリーと大野治長を筆頭とする青臭い参謀連、というのが定番解釈。いや、実際それっぽい。
池波史観ではどう解釈するのか興味がわいてくる、全体の流れの中の、ひとつのターニングポイント。