- 作者: 笹沢左保
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1995/05
- メディア: 文庫
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そのような状況の中、本多社長の妻が犠牲になる火薬爆発事件がおき、社長自身も自殺に偽装したと思われる手口で命を奪われる。有記子がまだ生きており凶行におよんだのではないかと疑われたが、有記子の妹佐紀子は、交際中の本多銃砲火薬店社員で労働組合長の豊島とともに、その容疑をはらそうとする。
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第14回推理作家協会賞受賞作。
一番あやしい奴が犯人だったでござるの巻。登場人物も多くないのでだいたい想像つくと思われます。むしろ「志村〜うしろうしろ〜」的な感じで読むのが正しいか。
扇情的なタイトルだが、カニバリズムの話ではない。他人を喰ってのし上がっていく野心をあらわしたもの。今で言うブラック企業で発生した労働争議にからみ、さまざまな人間の情や欲が、事件を生み出していく。
…どうしてもネタバレっぽくなるな。あからさまだからいいか。
悲恋心中やら労働争議やら、今では聞くことのなくなった古臭いネタも含んでいるが、謎解きは多重推理を行ってみたり、殺人トリックが鍵になっていたりして本格ミステリそのものである。けれんも十分で、それなりにおもしろく読めた。