- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/05/02
- メディア: 単行本
- クリック: 18回
- この商品を含むブログ (45件) を見る
売れない翻訳家で、大学講師と兼業で糊口をしのいでいる吉野解。
大企業の重役の娘の逆玉に乗り、いまだにそりの合わない義父から援助を受けている解は、かつて下宿していた泪亭で砂漠と出会い、激しく彼女を求めた。砂漠はそんな解を受け入れ、ある要求を突きつけた。
「お金貸してちょうだい」
─────
消費者金融による借金地獄と、総量規制が導入されたことによる影響。追い詰められた男女が出会い、やがて事件に発展する。それなんて火車?
扱う素材は俗っぽいが、作品世界は桜庭色だ。どうしようもなくやるせない閉塞感と、そこから抜け出そうとあがく一対の男女。プロローグで提示されたバッドエンドへ向かっていくまでの、複数視点からの描写。技術的には相当高いものがある。桜庭作品というのは世界観を読むものであって、ミステリ的な読み方をするものではない。いや、ミステリ的にどうよ、という感想を見たものだから。バラバラ殺人を扱ったからといってミステリであるとは限りません。ブンガクでございます。
プロローグで視点の転換を試みているのは、何か意図があったのだろうか。倒叙を仕掛けようとして伏線張ったけど、やっぱりやめたとか?
そこだけが気になった。