uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

眠狂四郎無頼控(六) / 柴田錬三郎

眠狂四郎無頼控(六) (新潮文庫)

眠狂四郎無頼控(六) (新潮文庫)


眠狂四郎がふたたび江戸に舞い戻った。

まず蜂須賀家の御家騒動に巻き込まれた狂四郎は、阿波に綿々と伝わる隠れキリシタンたちの信仰や、陰惨な愛を背負う居合の剣士野々呂甚内などとかかわり、虚無の剣をふるう。
さらに狂四郎を狙うのは、勤王を旗印にかかげて修験院に盤踞し、押し込み強盗を繰り返す御獄坊一党。


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五巻まででストーリーとしては完結していると言ってよい。ここから先は「もうちょっとだけ続くんじゃ」状態。とはいえ、まだまだ作品世界がパワーを保っているので十二分におもしろい。虚無剣士眠狂四郎のニヒルな活躍。

この巻の白眉は野々呂甚内のキャラクターだろう。登場から幕引きまでが一冊となった形。このシリーズは、こういう影の部分を持つ登場人物が生きる。

美保代から労咳が伝染ったともとれる描写があったのが気になるところだが、何事もなかったように進むのかもしれない。