- 作者: ブライアン W.オールディス,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/01/28
- メディア: 文庫
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はるか未来、地球は自転を停止する。現在の月と同じように、公転と自転の周期が一致し、永遠に片面を太陽に向けている世界。降りそそぐ太陽光線を浴び、植物は異様な進化をとげ、肉食植物が地上に跋扈している。一方で人類は急速に文明を失い、かつての類人猿のように、少数の群れでの樹上生活を強いられていた。
リリヨーをリーダーとする母系の群れでは、加齢による判断の鈍りをおそれたリリヨーが大人たちを連れて天へ登る。宇宙線を養分とする巨大な蜘蛛状の植物によって、はるか成層圏を越えて運ばれていくのだ。残された子供たちは、それを見届けたのち、トイを中心に古巣へと帰ろうとする。しかし新リーダーに反逆するものがあらわれた。グレンである。追放されたグレンは、危険な植物がうごめく地球を、ただひとり放浪しはじめる。
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『新世界より』が思いのほか楽しかったので、インスパイアもとのひとつと思われる本書を読んでみた。初読。
いや、これはすごい。この想像力はとてつもない。どうしたらこんな世界を構築できるものだか。一個のアイデアだけで長編一本書けそうな植物が次から次へとでてきやがる。悪いけどこれを前にしたらどんな作品もかすむ。しかもこれ書かれたの一九六一年か。ぜんぜん生まれてない。
どこかで見たような設定もいくつもある。つまり二次消費されつくしている。あれも、これも、全部影響受けてるぞ…というか異世界SFを書くなら意識しなければいけない作品だろう。読む方としても、早い時期に読んでおく「べき」作品だった。失敗。
人間の想像力ってすごい。本当に想像力のある人間が作る世界は現実を凌駕するかもしれない。強烈なインパクトを受けた。すげえ、としか表現のしようがない。