- 作者: 荒山徹
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 単行本
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東方海上に浮かぶオオヤマトの国。越語を話し、蛇を崇める人々には、脱皮を繰り返すことで長大な寿命を得る秘術が伝わっていた。
蛮人シャクチとなった屈強な若者は、独り大陸へ渡り、侵略を繰り返す文明を否定しながら楚漢、匈奴、朝鮮を放浪する。
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おもしろい。トオルの作品では久々におもしろい。トオルお得意の怪獣・妖術がファンタジー世界とベストマッチ。頭おかしいとしか思えないネタもこの世界なら無理なく成立する。そして古代中国史とヒロイックファンタジーが意外に親和性が高いことにびっくりだ。
蓬莱国をめざす徐福の目的は始皇帝の命による征服遠征だった!な、なんだってー(棒
バンパネラ蛇神の力によって長大な生命を得たキンメリアオオヤマトのコナンシャクチは、始皇帝の野望を阻止したのをかわきりに、侵略と服従をもたらす「文明」を破壊し、数代にわたる東亜の歴史に影響を与えていく。
シャクチの「不死」の力を狙うものたちや、太公望の魔導書兵法書を入手した魔導士軍師張良らの思惑が入り乱れ、織りなされる剣と魔法の世界。スピード感があるし、無理なネタのこねくり回しもなく、すっきりと入っていける。中国史に通暁している必要もない。
ファンタジー耐性は必要かな。ファンタジー苦手な人はダメかもしれん。好きな人にはお薦めしたい。
中国史ファンタジー。こんなのもあるんだ。