uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

湖底のまつり / 泡坂妻夫

湖底のまつり (創元推理文庫)

湖底のまつり (創元推理文庫)

やがてダムに沈む、獅子吼峡の千字村。都会生活に疲れてその土地に迷い込んだ香島紀子は、鉄砲水に流されかけたところを埴田晃二に助けられた。なりゆきのまま晃二と一夜をともにした紀子だったが、その後村人から、晃二はすでに故人であることを知らされる。おりしも村では「おまけさま」の祭りが行われている。その年「おまけさま」に扮していたのは、晃二の未亡人緋紗江だった。

先立つこと数か月前。ダム建設に揺れる千字村では、肯定派と反対派が静かな争いを展開していた。一応は反対派に属している晃二だが、ダムマネーを手にしてスポーツカーを乗り回すなど、うまく立ち回っている、そんな晃二の前に現れたのが、ダム建設会社で女だてらに測量技師として働いている藤舎緋紗江だった。
鉄砲水に流されかけたところを晃二に助けられた緋紗江は、たちまち晃二と恋に落ちる。反対派の若手とダム建設会社の技師という関係ながら、スピード結婚することになった。

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温泉一泊して読んだ小説。初・泡坂妻夫
泡坂妻夫というとなんとなく軽妙でユーモラスなイメージを持っていたのだが、わりと固めの文章、かつ幻想的。そしてエロチック。

なかなかおもしろい仕掛けがしてある。なるほど、この著者は技巧派なのだな。地の文にうそが書いてあるという批判があるらしいけど、いかにもミステリ原理主義的な批判だ笑 物語としておもしろくなるなら、その程度のルール違反なんてどうでもいいと思うなあ。

ヨギガンジー「しあわせの書」というのが、かなりぶっ飛んでいるという評判を聞いたことがあるので、そのうち読んでみたい。けど、なかなか入手困難で…まあ普通にamazonで買えるのだけど、できれば古本か電子書籍で手に入れたい。