- 作者: 南条範夫
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 1985/12
- メディア: 文庫
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二千石旗本の次男坊、月影兵庫。やんちゃ無頼にして十剣無統流を使う無二の剣客である。知恵伊豆の七代目子孫にあたる義理の叔父、老中松平信明に呼び出された兵庫は、綾姫の行方を追うことになった。
老中とはいえ、内実は将軍家の御機嫌取りに奔走し、あわよくばライバルたちを蹴落とそうと汲々とする毎日。現今の将軍家斉の道楽といえば、なんといっても女である。苦労して中山大納言の娘、美女の誉れ高い綾姫を献上すべく手に入れたのだが、この御転婆娘、将軍の側室など嫌だと、隙をみて逃走してしまったのだ。
東海道を京に向けて探索の旅に出た月影兵庫。同道するのは松平家中の三人と、綾姫の顔を知る奥女中、桔梗。立ちふさがるのは、政敵である老中、牧野の手のものたち。その中には、幽玄とした剣の使い手、幽霊侍、幻一角の姿があった。
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眠狂四郎がひと段落ついたので、ちょっと浮気。こちらも名高いシリーズですな。勝新主演で映画化、近衛十四郎主演でテレビドラマ化。近年、松方弘樹主演でドラマリメイクされたとか。親の当たり役を子が演じるという粋なキャスティング。その筋では感涙ものであろうと思われ。
南條範夫といえば残酷ものだが、このシリーズは明朗快活な剣客活劇。連作短編形式のロードノベルで、一編が二十数頁。さらりと楽しめる作品に仕上がっている。いやこれはおもしろい。ラストシーンはとても爽やかで印象的。
ただ、さすがは南條範夫。変態を書かせたら日本一 笑 本作にも、とんでもない異常性欲者が多数出演しております 笑
へ、へんたいだー(AA略