uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

木曜日だった男 / G.K.チェスタトン

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫)

変わり者の詩人グレゴリーに連れられ、無政府主義者の集会に出席した詩人、サイム。その結社、無政府主義中央評議会には、各曜日の名を冠するメンバーが存在した。巨大なリーダー「日曜日」に率いられた七人のうち、木曜日だった男が、先日急死。そのあとを継ぐ代表を選出することになっており、グレゴリーがその座につく予定なのだ。
しかし会合で実際に選ばれたのは、グレゴリーではなく、初出席のサイムだった。そしてサイムには秘密がある。彼は詩人であるが、同時に刑事でもあったのだ。結社の中枢にもぐりこんだサイムは、彼らの恐ろしい計画を頓挫させるため、行動をはじめるが…

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評論家であり、ブラウン神父が高名なミステリ作家でもあるチェスタトンの代表作。俺はミステリを読んでいると思っていたら読んでいたのは宗教思想だった…何を言っているかわからねえと思うが以下略。

読みはじめは、無政府主義者たちの間で活躍するサイムの姿を想像していたが、だんだん様相が変わってくる。三人目あたりで「ああ、そういうことか」という読みが働き、どう落ちをつけるのかの方へ興味が動く。で、落ちは…あーなるほどねえ。これはミステリではない。ブンガクですな。てっきりミステリだとばっかり思ってたよ。

キリスト教的なもの」に馴染みのない日本人にとっては、すこし難解。読了したときは宗教的な臭いを感じたくらいで、意味がわからなかった。解説を読んだあと序文を読み返し、ようやく腑に落ちる。

宗教家としての思想が濃く反映されたお話であり、自分のようにミステリを期待するとわけのわからないことになります。筋はミステリ以外の何者でもないんだけどね。