uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

史記 武帝紀(一) / 北方謙三

史記 武帝紀 1 (時代小説文庫)

史記 武帝紀 1 (時代小説文庫)

漢の武帝、劉徹。九男という地位から十六歳で皇帝に即位し、その経緯から外戚の干渉を受けつづけてきた彼は、長じるにつれ徐々に影響を排除し、やがてすべての権力を握る。
劉徹には大きな目標があった。父祖の代から北方を脅かせてきた匈奴を、ただ守るだけではなく、積極的に攻め、討ち滅ぼすことである。そのために張騫を大月氏に派遣し、同盟を結ぼうとしたりもしたが、張騫はそのまま消息を絶ってしまった。さらに劉徹は、愛妾の弟、衛青に騎馬軍団指揮の才能を見出す。徐々に取り立てると、衛青はめざましい活躍を示し、匈奴に対して大きな戦果を上げる。

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えー、北方謙三に手を出してしまいました。自分の読書嗜好的に読めば絶対おもしろいのはわかってたんだけど、どうせなら北方水滸伝から、そして水滸伝は吉川版しか読んでないからまずは原典から、と思ってたので手を出してなかったわけですよ。んで、やっぱりおもしろいわ。

しかし武帝紀というのはちょっと微妙ではある。世界史の授業に出てくる、西に天狗の鼻が伸びたような前漢最大の版図を築いた英明君主であるが、晩年の治世はグダグダ。大目標を達成しちゃうと能力の向け先を見失って迷走を始めるタイプだろうか。中国史の皇帝にはまれによくいて、有名どころだと秦始皇帝がそう。日本で言うと豊臣秀吉が同じタイプ。

衛青や霍去病が活躍しているうちは相当おもしろいと思うけど、終盤どうなるかなぁ。