- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/08/03
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共感能力や罪悪感、感情というものをまったく持たない蓮実は、頭脳明晰な人気者として優等生の仮面をつけたまま、偽りの生を送ってきた。米国から帰国した後、高校英語教師という職を得た蓮実は、学校という閉鎖社会の中で自らの王国を築こうとする。邪魔になる者をあるいは排除し、あるいは殺害して。だがその計画にほころびが生じたとき、巨大な事件が発生する。
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高校を舞台にしたピカレスク。あるいは21世紀のハレンチ学園。いかん、ある意味ネタバレかも。
殺人嗜好はないためシリアルキラーでこそないが、必要とあれば殺人を犯すことに一切の躊躇がないサイコパスが主人公だ。こういった話の常として、悪漢に嫌悪を感じつつも、最終的に破綻する(破綻しないとうちゅうのほうそくがみだれるのでストーリーを保てない)計画の推移に引き込まれていく。
著者が何を書きたかったかというと、下巻を書きたかったのは明白だ。さすがエンタテインメント作家、書きたいことへのぶれがない。下巻を書くために上巻を積み上げて行っている。ただしこの展開は、読む人によっては拒否反応を示すかもしれない。
タイトルどおり「悪の」エンタメである。あるジャンルのサスペンスホラーでもあるので、心臓の弱い方は心して読まれたい。
ただ最後のどんでん返しだけは少し疑問かな。アレにそんな機能があることを知っている人は稀だと思われ、やや取ってつけた感がある。