1138 太田地区
帆越山トンネルを抜けると太田地区に出る。トンネル出口の脇に拝殿がある。
左端が北海道本島最西端尾花岬(たぶん)。右下に小さく本殿の鳥居が見える。右上に本殿も写っているはずだが粒度が荒く視認できない。
1147 鳥居
本殿に移動。ここが入口だ!見てくださいこれ。こんな急階段見たことねえ。たぶん全行程中で3番目に危険なポイント。
ひと呼吸ついたあと、参拝準備を開始。ジーンズをはいてきちゃってるけど、まあいいことにしておこう。重い、かさばる、汗で足にまとわりつく、濡れるととんでもなく重くなる。およそジーンズほど登山に向いていない衣類はないのだが、ここは目をつぶっていただいて。
1207 石仏
階段を過ぎると、すぐに本格的な登山道がはじまる。ほぼすべてがロープ場。この道、ジグを切るという発想がまったくない。直登アンド直登アンド直登。ひたすらまっすぐ登っていく。
10分ほどで石仏に遭遇。しばし立ち休み。
1234 空中回廊
出たー!空中にかかるはしご!これ、本当に中空に浮くようにかかっているのだ。そして足元がすべるすべる…一定間隔で張られている滑り止めのロープに慎重に足を乗せていく。ああ、下をみちゃいかん、まっすぐ前を向くんだ。下には何もない、崖があるだけだ…
いまにして思えば、高所恐怖症のオレがなぜここを渡りきれたのか、さっぱりわからん。まあここまでの道も、ほぼほぼ崖のぼりだったしねえ。平面距離630メートルで340メートルほど高度稼いだから。平均斜度54%だから。崖以外の何者でもない。ある程度高度感が麻痺してる。
1236 最後の難関
ここまで45分。
この上にある洞穴が本殿である。参拝するには鎖を伝って登っていかなければならない。足元は畳1枚ほどのスペース。その下は垂直に切れ落ちる崖。落ちたら足場にはひっかからず、そのまま崖の下まで転落する。
一応感触だけでも…と思い、ザックをおろして鎖を握ってみたが…ああ、すっげえ無理。はっきりわかんだね。
鎖を握っただけで何の躊躇もなく、微塵も余地を残さず、登れないと確信した。なんだろうこの感覚。啓示を受けるというのはこういうことなのかな、ってくらい、すっと決断が降りてきた。
1237 本殿直下からの景色
折り返すことにしたので、ここからの景色を撮っておく。はるか海岸線に拝殿が見える。雲がなければ奥尻島が見えるらしい。
1309 下山
下り30分。
直登の連続をそのまま下るわけだから、下りの方が技術的にも体力的にもきつい。往復1時間15分の道のりだったが、おそらく一般的な登山の倍以上の体力を消耗する。
今回はジーンズとかなめた服装で行ってしまったが、完全な登山装備で行くことが望ましい。少なくともクマ鈴、トレッキングシューズ、軍手、水、行動食、雨具は必須。特に、足場が悪いため登山用の靴と、ほぼロープ場なので軍手は絶対に必要。数年前に人食いクマが出たらしい(駆除ずみ)ので、個人的にはクマ鈴もマストだと思いますがね。
吸血虫が多いという話だったが、季節がまだ早めだったか、虫除けスプレーの効果か、前日雨だったからか、ほとんどいなかった。ただし、マダニが一匹軍手に取り付いているのを発見。6月中くらいまではマダニにも十分注意しないといけない。
まあ要はこれ、登山ですよ。しかも難易度高めの。最後なんて初歩のロッククライミング知識くらい必要だと思われ。安易な参拝はおすすめしない。
1347 北檜山へ抜ける
太田地区から先が未開通だった区間だが、つまりは全線トンネルだ。長大なトンネル2本を越えると、開通済みだった北檜山側の道に出る。こちらも古くからある1.5車線幅のワインディング。ときおり集落の真ん中を抜ける。
1358 道道740号起点
R229に再合流して道道740号は終了となる。
このあといったん八雲に出るかR229を走るか悩むが、海沿いを走ることにした。単純距離だと長くなるが、めったに走らない道なので。寿都のでっぱりをショートカットする道路があるといいんだけどねえ。
1601 ささや食堂
朝食ビュッフェを食いすぎてまったく腹がへらなかったのだが、岩内に到着したころやっと小腹がすいてきた。
岩内には天ぷらラーメンというご当地B級グルメがある。札幌から90kmほどで中途半端に近いため、いままでチャレンジはしていなかったが、ちょうどいい機会だ、食っておくか。
天ぷらラーメンが食える店はたくさんあるが、そのなかでも代表的なのが、ここ「ささや」。道の駅案内所の正面にある、わかりやすい立地。たぶん駐車場はないが、メイン施設を中心にして周辺に多数散在する道の駅駐車場が利用可能。
店内テーブル席が6つくらいだったかな。奥に小上がりもあるみたい。メニューはラーメン、そば、丼ものなど、大衆食堂のそれ。もちろん天ぷらラーメンを注文。
見た目はごくシンプルで、塩ラーメンの上にえび天が2本と天かすが乗っているだけだ。まずはラーメンを食してみるが…う、うめえ!なんだこれ!
ベースになっている塩ラーメンが、とんでもなくうまい。こりゃあれだ、函館ラーメンのうまいやつだ。澄んだスープがごくあっさりで、それでいて滋味深い。塩梅もよく、ちぢれ麺によくからむ。
そして、あっさりスープにコクをプラスしているのが、えび天と天かすの存在。えびのぷりぷりした食感もアクセントになる。なるほどなあ、こりゃあよく考えられてる。角度とか。
ラーメンに天ぷらが乗ったB級グルメを食べに来たら、極上の塩ラーメンが出てきたの巻。塩ラーメンとして完成度の高い一杯だった。