uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

探偵はバーにいる / 東直己

探偵はバーにいる ススキノ探偵シリーズ

探偵はバーにいる ススキノ探偵シリーズ

ススキノで便利屋のような探偵のような稼業をしている俺。いつものようにバー「ケラーオオハタ」の指定席に座っていると、北大の後輩だという若造がやってきた。同棲している女が突然姿を消したという。
どうせ逃げられたに決まっているのだ。気が進まない依頼だが、なんとなく成り行きで調査を請け負うことになってしまった。
一方、ある男がホテルで刺殺された事件が世間を騒がせている。素人の女子大生などがアルバイト感覚で気軽に売春に手を染める、いわゆるデートクラブ。状況的に、男はホテルへ呼んだデートクラブ嬢となんらかのトラブルとなり、その後現場にあらわれたもう一人の男に刺されたらしい。

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ほぼ一か月なにもしておりません。歌丸です。
週末の雨続きのあといきなりの吹雪と積雪、雪はすぐ溶けたはいいがすっかり初冬の気温、さらに微妙に忙しく、すっかりやる気をなくしております。非常にしょうもない、しかし不治である病により歩行困難に陥りジョグすらできない始末。自分的鉄シーズンに向けて雌伏の日々。たのむぞコヒ…俺の冬のレジャーはお前に頼るんだよ…旧社保庁に匹敵する腐敗組織じゃないかよ…
以上前置き。


映画がおもしろかったんで原作を読んでみたというやつ。この「東直己」という名前、どこかで見たことのある字面だなあ…と常々思っていたのだが、カバーの著者近影を見て納得した。あー、このおっさん知ってる笑 「トークDEほっかいどう」のコメンテーターだ笑 北海道の平日午前中に放送しているローカル情報番組であります。夕方の番組でもちらほら顔を見たような記憶が。北海道は平日の日中にローカル番組が多い土地柄であり、ほとんどの北海道民はこの人の顔を知っていると思われます笑 そうかそうか、この人の本業はこれか。

んでまあ、内容的にはそのまんまハードボイルドです。ススキノが舞台の私立探偵もので、若干悪漢探偵寄り。北大中退の20台終盤、大酒のみで口も人相も悪く、手が出るのも早い。が、正義感は強く、根っからの悪人というわけではない。そういう主人公像。映画(タイトルは同名だが原作はこれではなく二作目)では名コンビだった高田は、この時点ではまだ、単なる悪友としてしか登場しない。

札幌市内や道内ローカル地名がバシバシ出てくるので地元民としては面白い。しかしこれ、土地勘がない人にはなんだかよくわからんのではなかろうか。北光線とか石山通なんてのは札幌市民ならだれでも知ってるし、身近な地名が出てくるのは単純に楽しいけど、道外の人にはどう見えるのだろう。
まあ福岡をまったく知らない自分だって百道浜室見川も記号として捕らえているわけだし、問題ないのかもしれないけど(というか福岡でまっさきに連想した地名がそれか笑 ふつう天神とかだろ)。

正直な話、ストーリーは今ひとつ。主人公の周囲に起こる種々の事件が有機的につながってひとつの姿になるのかと思いきや、なんだかぼんやりとした結合になってしまって、間が伸びている。核心ではないちょっとした挿話の前後を倒置して無用に読みにくくしたりなど、妙な手遊びも目につく。ただ、これがデビュー作だということを割り引けば、まあ読める方だったかな。

少なくとも映画組にはお勧めはしないなあ。原作となった二作目にたどり着くにはくぐなければならぬ門ではあるが。
札幌市民には無条件でお勧めだ。御当地有名人の書いた御当地ハードボイルドなので笑