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かつての繁栄のおもかげはなく、結界が張り巡らされた集落の内部で、高度な知能を得たハダカデバネズミ「バケネズミ」を使役して暮らす人々。結界の外には異様に進化した動植物が蠢いている。「悪鬼」「業魔」といったものどもに怯える彼らは、何を封じ込めようとしているのか。
物語は、渡辺早季ら五人の少年少女の成長とともに進行する。思春期をむかえPK能力を得た早季たちは、次第にこの世界を形づくっている真実を、知りはじめることになる。
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大阪DEEP案内。ソース二度漬けを厳しく禁忌とする人々。西成には異形の労働者が蠢く。んなわけない。超能力バトル+ハダカデバネズミ三国志。そう総括したい。
徐々に舞台の構成が明かされる形式なので、あらすじには何も書けなかった。序盤は世界と戦う少年少女たちの物語、中盤はハダカデバネズミ戦国絵巻、終盤は悪鬼との超能力ウォーズと思っていただきたい。基本的には荒唐無稽なお話。しかし飽きない。かなり長いのにまったく飽きない。さすが現代を代表するエンタテインメント作家。おもしろくておもしろくて先が気になり、ページを繰る手が止まらない。
一部ではネットアイドルとなっているハダカデバネズミが大活躍するのが楽しい。哺乳類のくせに真社会性をもつ動物。女王を中心に少数の生殖雄、多数の兵隊・ワーカーで構成される巣を形成する。体毛はほとんどなく、名のとおりハダカ同然。非常に醜い外見をしているが、どこかしらユーモラスで、キモカワイイ。
作中ではバケネズミと呼ばれている彼らは、人間とほぼ同程度の知能を持ちながらPK能力を有していないがために、奴隷同然の扱いを受けている。中盤から終盤にかけて、傲慢な人類よりもむしろバケネズミに感情移入してしまった。それはもちろん著者の狙いである。
この作品、アニメ向きじゃないだろうか。エロい部分も含めてシリーズ化されるとおもしろそう。年齢設定を上げないとまずいけど。
エロいところがはたして必要だったのかは、何ともいえないですが。なくても成立するし、とってつけた感はある。