uruya’s diary

夏山登山とツーリング。冬は鉄分多め。

怪 vol.0037 vol.0038

黄金週間。ゴールデンウィークでございます。皆様いかがおすごしでしょうか。ここ北海道では3+3+4の10日間すべて雨または雪、かつ記録的な寒さでございます。無雪期の休日にやることといったらだいたいアウトドアなんですよ。晴れてくれないとどうしようもないんですよ。あ゛ーあ゛ーもう。いろいろ計画してたのに、すべて流れた。明日から1泊ドライブ予定しておいてよかったよ。本当に何もできないところだった。

寒いから外食に出るのもおっくうなので、読書して過ごすしかないという罠。38号が発売になったので購入したら37号を買っていないことに気がついて、2号ぶん積んでおいた怪をまとめ読み。

文明怪化奇談 / 荒俣宏

第四回 二笑亭の電話

奇怪な建築物「二笑亭」の主人が脳病院へ収容され、建物が取り壊されるという情報を得た記者依田新太郎は、主幹の伝手で、もと記者で精神科医である中村古峡と、伝説の編集者池辺三山の助力を得る。
写真家を加えた四人で二笑亭へ潜入してみると、入り口がない部屋があったり、電灯があらぬ方向を照らしていたりなど、確かに奇妙奇天烈な建築物である。屋敷内には誰もいないはずだったが、女中のシズがひとり残っていた。シズは主人から電話で指示を受けているというが、この屋敷は主人みずから電話を撤去しており、電話は存在しないはずだ。

最終回 大砲とトリカブト

宇佐郡佐田村から、民間鋳造した大砲を売り込みに来た賀来睦三郎。その宿に漁師の女が訪ねてきて、大砲を貸してくれと言う。
女の村は、芝のエビ漁村である。お台場の設置により土砂が流入し、また砲撃の音でエビが深みに逃げ、漁場を移さざるを得なくなった。新しい漁場では旧来の網が役立たないため、漁師たちは網を新考案する。しかしその網の使用を、漁村間の取り決めを理由に、代官所から差し止められてしまった。シーボルトの弟子で本草学者の伊藤圭介に相談していた漁師たちだが、伊藤は諸事情により国元へ帰ってしまい、睦三郎が大砲を持っているから力を貸してくれるだろう、との手紙を送ってきたという。

虚実妖怪百物語 / 京極夏彦

第六回

加藤はこの国に精神的死をもたらすため、東京都知事仙石原賢三郎を拠代とし、西欧で封じられていたダイモンを復活させる。
相次ぐ妖怪出現にパニック状態になった人々は、妖怪馬鹿たちを悪者に仕立て上げた。そこで、妖怪小説家はある提案をする。

第七回

詭弁を駆使して自説を展開する京極。妖怪とはむかしも今も、現象にキャラクターがついただけにすぎない。変わったのは、キャラクターが可視化され、第三者にも認識できるようになったことだ。その原因をつきとめることが唯一の解決策である。
一方、黒は、しょうけらが体にまとわりつくようになり困っていた。

過ぎ去りし王国の城 / 宮部みゆき

第三回

少女を助けようと主張する真に、城田は反対する。絵に体力を吸い取られて蒼白になっている真を諫めたのだ。だが興奮状態の真は、城田に暴言を吐き、ケンカのような形で別れてしまう。
冷静になって反省し、謝ろうとしていた真は、城田がクラスメートに暴行を受けたことを知る。そしてそれをきっかけに、城田の複雑な家庭環境を知ることになった。大きな病院の娘であること。婿養子に入った父親の連れ子であること。血のつながりのない母親と、腹違いの兄弟がいること。そして、母親側と折り合いがよくないらしいこと。
仲なおりしたふたりは、今度はそろって絵の中に入ってみた。すると、絵の中の森を歩いている人を発見。佐々野、通称〈パクさん〉と名乗る、作業服を来た四五十代のおっさんだ。

第四回

パクさんは、佐々野一郎四十七歳。プロの漫画アシスタントをしている。銀行で撮影した絵をパソコンに取り込み、そこからこの世界に来ているのだ。この世界が来た人間の体力を吸収することを知っているパクさんは、自分が書き込んだ扉をくぐらせ、ふたりを帰らせる。もしまた来るなら連絡してくれと、携帯番号を教えて。

つくもがみ、がんばります / 畠中恵

連載第三回

大久屋のこどもが、急に見つかった。人別がみつかって女の子だったことがわかり、大久屋の知人が居場所をつきとめたのだ。だが、お兼というその子は、ひきとられてすぐ行方不明になってしまった。

もどき開口 -木島日記完結編- / 大塚英志

第十二回

大杉がいるのは隠り世である。飼われている女「猫」の先導で、大杉は気多をたどっていずこかへ向かう。
木島は、土玉、口を縫っている男と海岸線の気多を歩いている。このところの異変は、隠り世=ミューが最接近しつつあるためだ。ミューは一定の周期で現し世と接近しているが、ときおり大接近する。瀬条機関の目的は、死なない兵を作り出すこと。ミューの接近を利用して、死者をよみがえらせる実験を行っているのは、そのためだ。

第十三回

安江仙弘は参謀本部を出て九代目木島のいる八坂堂へ向かう。
目を覚ました折口は森の中で金の枝を守り、自分を殺しにくる男を待っている。
春洋は折口のもどきとして代講をつとめている。
大杉はイニシエーションを経て現し世の者となり、甘粕正彦と再会する。

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『文明怪化奇談』
明治期に発明されたガジェットを奇譚に仕立て上げたシリーズ。完結しました。
実在の人物が巧みにストーリーに組み入れられているが、メインストリームの人物ではなく、今で言うサブカル系だ。荒俣宏らしい。

『虚実妖怪百物語』
帝都物語妖怪大戦争の楽屋落ちパロディであることは連載当初から明白ですが、ストーリーが進むにしたがって、本歌取りがはなはだしくなってきた気が。加藤はどうだ、いいのか、これ。
石原DISには笑った。

『過ぎ去りし王国の城』
世界に入ると体力を奪うという設定と、新キャラのパクさん。

『つくもがみ、がんばります』
連載は37号まで。38号に新刊の広告。発売済み。
最終話を書き下ろしかと思って、あらすじでネタバレっぽい部分には触れなかったが、尼で目次を見るとそうでもなさげ。最終回の展開が見えたような気がしたんだが。考え過ぎか。

『もどき開口』
金枝篇…このあたりになるともう手に余る。甘粕と大杉が再会ってどういうこっちゃ。わからん!
大塚英志は頭がよすぎて衒学的に過ぎる。もうすこし抑えめでおながいします。